





建築確認申請と内装制限が重要!
バイクライフを楽しむガレージ造りでは建築会社へ依頼することが一般的ですが、最近ではDIYでガレージ造りに挑戦するという人も増えています。
プロの建築会社へ注文すれば100%安心とも言い切れませんが、個人で造るバイクガレージで特に気をつけたいのが違法建築!
自分の好みと予算に合わせて自由に造ったバイクガレージが、もしも違法建築となってしまった場合、取り返しの付かない多くのリスクがあります。
快適なガレージライフを送るためには、法に適したガレージ造りであることが大切です!
では、バイクガレージは何をもって違法建築となってしまうの?
と、疑問に思う人もいるでしょう。
ということで
今回のトピックは3つ!
といった内容について詳しくお伝えします!
この記事を読めば、バイクガレージを造る際の建築確認申請の要不要や、建築基準法におけるガレージの内装制限について理解できます。
せっかく造るバイクガレージが違法建築とならないよう、注意しましょう!
建設業会社員|二級建築士|愛車XL883L
バイクガレージが大好きな趣味ブロガー。住宅&建設業界で30年の現役会社員。2015年に木造30坪ガレージハウスを建てたスポスタ乗り。「作り手×売り手×買い手」としての経験を活かし、全方位的な視点で「バイクと楽しむガレージライフ」を提案するブログ『メリーガレージ!』を運営中。
後悔しないガレージづくりを始めよう!
結論から述べると、ビルトインガレージであれガレージ小屋であれ、すべてのバイクガレージは建築基準法における内装制限や建築確認申請、固定資産税の対象と成り得ます。
その次の段階として、一部例外となる緩和措置が適用されるかどうか。
せっかくのバイクガレージが違法建築とならない為に、しっかり事前にチェックしましょう!
バイクガレージが違法建築となってしまう可能性があるのは、大きく分けて2つ!
建築基準法では“車庫”と表記されるガレージ。
車庫というと自動車の駐車場をイメージしがちですが、ここに四輪車や二輪車といった区分はなし。
ガソリン等の燃料を使用する車両である以上、可燃性や揮発性に注意した内装仕上げとすることが法律で定められています。
建築確認対象の建築物なのに未届けであったり、お洒落なデザインを優先して燃えやすい内装としてしまっては、違法建築となる可能性が高いです。
いろいろと“含み”はありますが、ひとまずこの二点!
建築基準法という法律に従って、建築物を造る際には建築確認申請が必要となります。
建築基準法で定義する“建築物”とは「土地に定着する工作物で、屋根と、柱もしくは壁があるもの」としています。
つまり!
DIYで建てるガレージ小屋はもちろん、壁の無いカーポートでも、基礎に固定して動かせない物置も、これらは建築物ということで確認申請が必要!
建築物
建築基準法 第2条 第1項一号(抜粋)
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。
自分の敷地内だからと言って好き勝手に建てられないんです。
建築確認申請は主に以下のステップで進みます。
建築確認申請とは、造ろうとしているバイクガレージの図面等を指定の機関に届け出ること。
提出された書類が適法であれば確認済証が発行され、そこではじめて工事が着工できます。
そして工事完了後には完了検査を受け、検査済証が発行されてようやく、そのガレージを使用することが可能ということに。
申請した内容と異なる物を造ったら解体命令が出ることも!
建築確認申請は、建築主が提出する書類です。
一般的には建築会社へ委任・委託して届け出るのが実情なので、多くの方にとってあまり馴染みがないかも知れません。
ここで注意したいのが、建築確認申請に虚偽の記載や不備があった場合、行政の指導や処分を受けるのは、まず建築主であるということ!
施工業者に取り壊し命令が出るのはその後です。
DIYでガレージ小屋を全て自分で造る時も同様で、便宜上、建築主「自分」と施工者「自分」に分けて考える必要があります。
DIYだからと言って申請が不要になることはないよ。
建築基準法により、車庫(ガレージ)は内装制限という規制を受けます。
バイク車両は揮発油を貯蔵していたり油脂類が多く使われているので、ガレージの壁や天井には準不燃材料以上の仕上げ材を用いた防火構造としなくてはなりません。
後述する「建築確認申請が不要となるパターン」を問わず、用途が車庫(ガレージ)であれば内装制限の対象なので注意しましょう!
基本的には床からの高さ1.2メートル以上の壁や天井の部分が内装制限の対象となります。
木造のガレージにしたい場合、ガレージ室内の天井と壁を合わせた面積の1/10以内までであれば、木材を使用することも可能です。
こだわりのガレージインテリアで、木材をどの様に魅せるかについては建築士や建築業者によく相談しましょう!
建物自体が耐火構造なのか準耐火構造なのかによって選択肢も異なります。
※内装制限の緩和について
ガレージにスプリンクラー設備や水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けて、さらに建築基準法施行令第126条の3の規定に適合する排煙設備を設けた場合については内装制限の適用外。(告示第251号第四号より)
※ガレージの外装制限について
駅や繁華街周辺の防火地域、その周辺住宅地の準防火地域、さらにその周辺の22条区域でガレージを造る場合、屋根には不燃材料を用いることが定められています。各自治体によって不燃材料の範囲が異なるので、詳しくはお住まいの行政窓口に確認することをお勧めします。
建築確認申請には緩和措置もあって、特定の条件に該当する場合に限り申請が免除されます。
逆に言うと、以下の条件を全てクリアしないと建築確認申請が必要ということに。
【①②の補足】
防火地域・準防火地域であれば、たとえ10㎡以下の建築物であっても建築確認申請が必要。
【③の補足】
増築や改築ではなく、その敷地に一棟目となる建築物は建築確認申請しないとダメ。
【④の補足】
用途上不可分とは「キッチン・トイレ・浴室」がすべて揃わない建物のこと。
【⑤の補足】
建ぺい率や容積率は母屋と合わせてクリアしないとそもそも建築できないので、厳密には確認申請の要不要の条件とは別。
また、都市計画区域・準都市計画区域内の建築物は、その用途規模を問わず建築確認が必要になる場合もあるので要注意です。
前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない。
建築基準法 第6条 第2項 より
条文の「前項の規定」とは「建築物の建築等に関する申請及び確認」を指しています。
なお、【別棟型】DIYでバイクガレージ小屋を造るメリットとデメリットの記事でも詳しく解説してるので気になる人は読んでみて下さい。
そして、以下の3つの要件をすべて満たしているバイクガレージの場合、固定資産税の対象となるので税制面での勘案もお忘れなく!
①外気分断
柱や屋根を有し、三面以上が壁や建具(サッシ)で囲われている
②土地定着
基礎等で土地に固定されている
③居住用途
居住、作業、貯蔵等に利用できる状態
建築確認申請と紐づけられてそうな納税の義務。
なお、床式の物置型バイクガレージなら固定資産税の対象外となる可能性が高いので、詳しくは【物置型】カスタムを楽しむプレハブ式バイクガレージの選び方!をご参考に。
以上、他にも都市計画法など様々な法律も併せて検討する必要があるので、くれぐれも自分勝手な判断はせず、住宅会社や専門業者に問い合わせてみることをお勧めします。
ガレージのない戸建住宅に住むライダーなら、1階の一部を改築したり敷地内に増築をして、自分だけのガレージ空間を作りたいと思いますよね!?
増改築でバイクガレージを作る方法は、既存の建物や敷地との関係性、予算、デザインなど、様々な要素によって多岐にわたります。
今あるお家をリノベーションして作るバイクガレージは、関係法令をきちっと守ってくれるプロの業者であるかどうかもとっても重要な要素です。
ビルトインのインナーガレージで新築のガレージハウスをお考えなら、生活動線のプランニングも踏まえ、プロに意見を求めることは必須!
特に近年は、大手ハウスメーカーもガレージハウスを力強く展開しているので、豊富な実績とアイディアから魅力的なプランが手に入るでしょう。
ただし、ガレージハウスが得意な大手ハウスメーカーは限られています。憧れのガレージライフを新築で叶えたい人は、以下の記事もご参考に!
ガレージとして使用してるのに内装制限を受けない倉庫として建築した場合や、建築確認の対象なのに申請せずに建てた違法なバイクガレージは、かなりの高確率でバレる傾向にあります。
しかし、そもそも役所は違法なバイクガレージの存在を知る由もありません。
では一体なぜ、違法建築のバイクガレージはバレてしまうのか!? について解説します。
バイクガレージが違法建築とバレてしまう理由で最も多いのは、友人・知人、ご近所など、知り合いからの通報です。
自慢のバイクガレージはついついお披露目しがちですが、こだわりのインテリアには木材がふんだんに使われていたりもします。
ちゃんとした建築会社にそれなりの工事代金を支払って造られたバイクガレージなら心配も少ないですが、そうじゃない場合、合理的な説明がつかない場合も。
また、違法である事をさも武勇伝のように自慢げに話す人もいますが、ご近所からしたら火事でも起きて延焼したら堪ったもんじゃない!ということ。
建築確認の対象じゃない場合でも、内装制限のない倉庫として造ったのなら、バイク車庫として連続的に使用するのは間違い。
違法なバイクガレージは、建築会社からの通報でバレることもあります。
たとえば、適法な工事となる適性価格で見積を出したら、違法な工事となる格安の見積で仕事を取られた営業マンからとか。
あるいは、バイクガレージを真似して造ろうとした知人が、「あそこの家ではこの値段であんな素敵なガレージが出来たのに!」と言われた、真っ当に営業している別の建築会社の人からとか。
せっかくのバイクガレージが違法建築として処罰を受けない為には、きちんと法律に則ったバイクガレージを造ることが重要です。
もはやどっちが善意でどっちが悪意なのか。法律には「知らなかった」では済まされない、善悪を問わない部分もあります。
もし、図らずともせっかくのバイクガレージが違法建築と見なされた場合、どんなペナルティーを受ける可能性があるのか、という点について解説!
バイクが好きなバイク乗りであれば、これを読んで違法なバイクガレージを造らないように心がけて欲しいと願います!
建築確認が必要な工事なのに、建築確認申請をせずに無許可で着工した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
そしてこの罰則が適用されるのは建築主、つまりバイクガレージを手に入れて愛車のバイクを保管しようと考えている当人です!
さらに行政からの工事停止命令を無視して工事を進め続けると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に!(建築基準法 第98条 第1項一号)
この場合、罰則が適用されるのは建築主と工事を受注した建築会社なので、もしDIYで全部自分で造るバイクガレージであれば、それはもう全部自分。
建築確認に関する罰則は、建築基準法の威信にかけて非常に厳しく科せられますよ!
違法建築が発覚すると国土交通省から処分が下され、建築士や建築事務所、工務店などは、免許の取り消し、業務の停止、そして文書注意などの行政処分を受けます。
そしてその違法建築に携わった建築士の氏名や建築内容などが公開されますが、自治体によっては個人の悪質なDIYについても公表に踏み切ることも。
行政は基本的に個人の財産であるバイクガレージに深く関与しませんが、近隣住民の安全に配慮して指導や処分がなされる場合があるという事を覚えておきましょう!
違法な建築物の地震による倒壊や火災による延焼の心配は、近隣住民にとって重大!
行政は建築基準法に基づき、違法建築物に関しては以下の措置を取ることができます。
これらの措置を無視し続けると、解体命令(違法建築物の除却)が下されます。
さらに、その違法建築物で使われている電気や水道、ガス等も休止されてしまうことも!
ここまでくるとよっぽど!
そんな人はバイクガレージを造らないで欲しいし、何ならもうバイクに乗らないで欲しい。
たとえ小さなバイクガレージであっても、それが合法でない場合、敷地全体で違法建築と見なされてしまいます。
そのバイクガレージが地震による倒壊や火災に遭っても保険が適用されないのはもちろん、バイクガレージに無関係の範囲で何かあっても保険適用外となる可能性も。
ただし厳密には、行政法規と民商法規は異なる履行があるので、事前に保険会社へバイクガレージの増築や改築の内容で契約変更しておけば、全く保険が適用されないという事はないでしょう。
保険会社に申し出てない場合は、話がかなり難航しますよ。
将来的に建物を売却したいと考えた時、違法建築のバイクガレージがあると不動産の売買取引が出来ない可能性がかなり高いです。
不動産屋さんとしても、違法建築な建物付きの土地の仲介や売買には積極的になれません。
解体費用を負担してでもその土地に価値があると判断されれば売れるんじゃね!? と思いがちですが、解体についても行政への届け出が必要なので、そこで納税額の不足が発覚することもあり得ます。
歳を取ってから子供や孫に迷惑をかける可能性も。
好みの仕様や低予算による実現など、違法で造るバイクガレージに何かしらのメリットを感じたとしても、そのリスクはあまりに大きすぎます!
業者によっては「ウチで造るのはあくまで倉庫です。お客さんがバイクガレージとして使うのは自己責任で!」と言うところも。
それを承知して自己責任はその通りで構いませんが、万が一、火災などがあった際の社会的責任もそこに含まれるので検討は念入りに行いましょう!
ということで、バイクガレージが違法建築となってしまう可能性があるのは大きく2つ!
建築確認を申請して正しく造られたガレージには、容積率が20%緩和されるなどの恩恵もあるので、是非とも法に適したバイクガレージ造りをしましょう!
それではまた!
楽しいガレージライフを♪
To Be Continued